デジタルガバメント・ジャーニー (2) プロジェクトマネジメント導入編
デジタル化推進マネージャーの長田です。
前回記事では「デジタルガバメント・ジャーニー (1)」では、
まずはマインドセットから
どこへ向かうのか、どうやって向かうのか
を書かせていただきました。
今回は第2弾として、「1つ1つを丁寧にかつスピーディーに作り上げていくために必要なプロジェクトマネジメント」について、触れていきたいと思います!
1. 行政におけるプロジェクトマネジメントの必要性
プロジェクトマネジメントは、ある特定の領域にのみ適用可能なものではなく、とりわけ一般的に広く適用可能な手法とされています。そのため、もれなく行政機関でも適用可能な手法ではあります。
一方、行政職員においては、馴染みが薄いだけなのか、教育プログラムが整っていないのか、各種要因はあると考えますが、認識せずにプロジェクトマネジメントを行っている場面に、頻繁に直面します。
PMBOK®(Project Management Body Of Knowledge)としてまとめられている通り、プロジェクトマネジメントは体系だった知識で行われるものであって、PMBOK®を身につけることで行政における事業運営はより強固に行えるようになると想像します。
その理由は、行政が行う事業等に対し、時限性が強く求められるようになっているためです。明確化な目的を掲げ、その達成状況等を常にモニタリングし、必要に応じて軌道修正を図ることが迫られている事業運営を行うことは、プロジェクトマネジメントが最も得意としている対象であるからです。
そして、プロジェクトマネジメントが浸透することで、「縦割りの手続き重視の管理運営から、変化する政策課題に柔軟に編成されるプロジェクト体系を軸にした経営」への転換、いわゆるアジャイル型組織の形成の土壌整備が行えると考えるからです。
2. まずはPMBOK®を地図として知る
2021年8月(日本語版は2021年10月)に発表された第7版により、ベストプラクティスベースからプリンシパルベースに変わりましたが、まずは知識体系として習得するため、第6版までの内容をもとに本記事は記載します。
PMBOK®は、10の知識エリアと5つのプロセス群をかけ合わせて、49のプロセスが体系的に整理されています。
結果、PMBOK®ガイド第6版は約770ページもの分厚さを誇り、PMP®を取得するための標準学習時間は114~380時間とも言われています。
そこで実務で生かすためにも、地図として整理して知識体系を、より大局的に理解することから始めることが良いと考えています。
上記は私の理解をインフォグラフィクスにしたものです。
上部の「10つの知識エリア」が相互に関連、下部の「5つのプロセス群」が知識エリアごとにそれぞれ動く。頭と体のような連動性を持つものというイメージです。
3. 最初の一歩は…
「1つ1つを丁寧にかつスピーディーに作り上げていくために必要なプロジェクトマネジメント」と題しましたが、「1つ1つを丁寧に」行うならば、事業における1つのタスクに対してPMBOK®の49プロセスの中からベストプラクティスを適用し適合(テーラリング)させ、タスクを消化していくべきでしょう。
しかし、行政職員の多くは未認識ながら、既に大部分はプロセスの型にはめて実行できており、その結果現在の行政サービスが高い品質ラインを一定に保って提供されていると考えられます。
要するに、知識体系を後付けでも習得することで、効率性を上げた行政サービスへ進化することが可能と考えます。
では、最初の一歩として何を理解すればよいのかと言う点です。
あくまでイメージですが、知識エリアは収斂され機械的にこなせるものと生き物のように状況によってうねるものに分類されると考えます。
前述の通りプロセスの型にはめて実行できている大部分は収斂され機械的にこなせるものの方になります。
つまり、最初の一歩は、現在できていない生き物のように状況によってうねるものを対象にした方が良いと考えます。
知識と言う手綱できちんと制御することで優先度が付けられ、丁寧さを持ちつつスピーディーにプロジェクトマネジメントを実行できると考えます。
4. とにもかくにもリスクマネジメント
さらに優先度を付けるとするならば、「目的または目標達成に影響を与え得る不確実性」と定義されるリスクのマネジメントが重要と考えます。
定義通りプロジェクトは不確実な中で進行するものですが、不確実なものを放置せず、明確となるようにすることでマイナス要素を排除し安定感を保つことができます。
つまり、行政サービスの品質ラインを安定的に高水準で維持するためには、リスクマネジメントの強化、ひいてはリスク・コントロールをすることが肝要と考えます。