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情報プロジェクト室みんなのnoteマガジン

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室長をはじめとして、行政DXに関わる経産省メンバの想いをつづった記事をまとめています。
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記事一覧

noteから「行政をハックしよう」に至るまで

2021年10月30日「行政をハックしよう」を発刊します。今回ぎょうせい社から発刊しますが、そこまでには実は長い道のりがあったので、自分の整理も含めて書いてみようと思います。 行政デジタル化をもっと浸透させるための「本」2017年に留学から経産省に戻ってきて、デジタルガバメントを実現するんだと2年くらいがむしゃらに取り組む中で、「これはもっと多くの人にデジタルガバメントのコンセプトや考え方を伝えないと世の中変わらない」という思いが非常に強くなっていきました。 歴史において

制度を作るときは運用も一緒に考えよう

新しい制度等を創設する際、多くの行政組織は権利関係やステークホルダーの利益衡量については丁寧に考えますが、実際にその申請がどのように運用されるかが関係者でイメージされていないため、いざ制度開始となった際にユーザーである申請者や、申請の対応を行う行政官に大きな負担が生じ、制度の円滑な実施を妨げるといったことが多く起きています。 これは制度の問題だけではなく、運用のデザインの問題です。こうした障害を回避する上でどのようなことを行うべきか、整理してみたいと思います。 関係する行

Government as a Serviceが示す新しい行政の可能性(α版)

様々な日常のモノの消費は、オンラインで定額課金で受けられるようになってきており、これらをXのサービス化、"X as a Service"と呼ぶ。例えば、CDやビデオは、SpotifyやNetflixを通じてモノを介さず、PC,タブレット、スマホがあれば、サービスとしてどこでもストリーミングで視聴できる(Music as a Service, Video as a Service)。車や自転車も所有からシェアリングによって必要な時に移動手段としてサービスを受けられるようになった

事業者行政手続のログインサービス、GビズIDって何?

初めまして。IT総合戦略室で事業者向け行政手続サービスを担当しています吉田と言います。普段は経済産業省の情報プロジェクト室でも行政サービスのデジタル化を推進しております。 今回は事業者行政手続のログインサービス、GビズIDについてご紹介したいと思います。 ログインって何?皆さんが普段eコマースなどのサービスを利用する際、ID・パスワードを設定してログインすると思います。 これはなぜ行う必要があるのでしょうか? リアルの対面と違い、オンライン上ではログインがなければ誰が

ケネディスクールセミナーから見る海外のデジタルガバメントの課題と日本への示唆

6/9から6/11までケネディスクールとPublic Dgital共催によるDigital Service Convening2021が開催された。自分が留学時代にお世話になっていたDavid Eavesに声をかけていただき、Next wave of digital service unitとして経産省の取組を紹介した。 2010年代に英国GDS, 米国USDS、エストニア、カナダのCDSなど様々なデジタルサービスユニットが立ち上がり、そのムーブメントがあった中で日本やその

GDXはデジタル時代の公務員の姿勢を問い直す

「Next Generation Government(NGG)」発刊から約1年半経って、黒鳥社が「GDX」という7万字にわたる無料冊子を編集、配布を開始した。本冊子はPDFでも行政情報システム研究所のサイトからダウンロード可能だ。 DXとは何か。それはユーザー中心にサービスを提供することであるということが色んな角度から書かれている。行政における「ユーザー」とは当然行政サービスを受ける市民であるが、デジタル化によって業務のあり方が変わる行政職員自身もユーザーの一部である。

ベース・レジストリはやっとスタートラインについた

ベース・レジストリがやっと指定までたどりつきました。進め方の検討が終わりこれから具体的に整備をすすめていきますが、とりあえず、ここまでの経緯をまとめておきます。 ベース・レジストリまでの道のりデータ標準の議論は共通語彙基盤などで検討されてきましたが、それと並行して2017年5月30日にデジタル・ガバメント推進方針で「デジタル・ファースト」、「ワンストップ」、「ワンスオンリー」と、今につながるデータ連携につながる3原則を作っています。(ここでは、ワンスオンリーを「一度行政機関

ベース・レジストリのメニューがそろった!

将来の社会基盤であるベース・レジストリの指定が2021年5月26日に行われました。これまで多くの期待が寄せられてきましたが、実際に何が指定され、何が指定されなかったのか、何が課題なのか、実際にどのように使えるようになるのか。何をしなければいけないのかを整理していきます。 どのような基準で何が選ばれたのでしょうか昨年12月に公表したベース・レジストリのロードマップでは、①多くの手続きで利用されるデータ、②災害等の緊急時に必要なデータ、③社会的・経済的効果が大きいデータ、の観点

スマートシティのコースを作ってみた!

スマートシティというと洗練された都市というか、キラキラしたイメージを持つ人も多いかもしれません。自動運転車が走り、グリーンエネルギで都市が動き、ゴミなども落ちていない街を人々が悠々と散歩している感じでしょうか。 スマートシティはキラキラしているのか 遠い未来はそうかもしれません。自動運転が広がれば、自家用車を持つ必要もなくなり、駐車場も余るかもしれません。スマートウオッチで健康管理しながら活き活きと生活できるんでしょうね。そうなると、都市の姿や働き方も相当影響を受けると考え

オープンガバメントのコースも作った!

オープン、透明化などの言葉をよく聞きますが、最近、オープンガバメントの話を聞かないので整理してみました。 オープンガバメントはどこに行ったのか世界各国では着実に進んでいます。様々な国で行政情報の公開が進められ、ワークショップが開かれるなど、特に、オープンガバメントといわずに一般的な行政手法として定着しています。githubやソーシャルメディアが使われるなど手法も多様化しています。 また、国連は、オープンガバメントではなくe-Participationと呼んでいます。意外に

LegalTechをまとめてみた

先日、法律策定にテクノロジを使おうのnoteを書きました。 概要だけだったので、各国や国内の取り組みをもう少し詳しくまとめてみました。図が多いのでプレゼンテーションで作ってSlideshareに載せています。 デジタル時代の法律整備と活用 2011年のBPMNで法律を書いてみようというプロジェクトの時に論文とか書いていたら、世界的にも相当先進的でしたね。当時は、この検討を深めるにしても、国内に研究者もいなくて進められなかったのですが、やっと時代が追い付いてきた感じです。

データのコース作ってみた

データ村は情報のラインナップがそろっていないデータサイエンスはいろんなコースが花盛りです。データベースも昔から実務的なコースがたくさんあります。それぞれ大学でも教えています。でも、アーキテクチャやデータ設計やモデリングを本格的に教えているコースはほとんどありません。また、国内外のデータ戦略を整理した資料も見当たりません。 そこで教材作ってみました様々なところで講演などしたり職場で説明したりしていると、どんどんスライドがたまってきます。自分でも、「あんなスライド作った気がする

卒業する情報プロジェクト室のメンバーへ

2021年の3月31日でデジタル化推進マネージャーが3名卒業した。 2017年の経産省DXの立ち上げ期から5年間、一緒に走り、経産省に止まらず、様々なコミュニティを越境してGovtechのカルチャーを作ってくれた酒井さん 2018年の最初のマネージャー採用で入省し、経産省だけでなく、他省庁や自治体も利用する補助金申請システムJグランツを、苦しい時もそれを見せず、立派に育ててくれた宮部さん 同じく2018年から中小企業庁のデジタル化を一手に引き受け、ミラサポplusをはじ

法律策定にテクノロジを使おう

法案の間違いが多いと指摘されてます。報道では、霞が関のレベル低下とか、残業が多い中で処理できないとか、疲弊とか士気の低下など、精神論的な議論が論じられています。 これで、確認の読み合わせを2回やるとか、3人で読み合わせを行えとか人海戦術の解決に進むのでしょうか。 そもそも、大量の文書の処理とかは技術的な支援の仕組みがたくさんあり、海外ではLegalTechが盛んです。 国内でもLegalTech、RegTechなどが2年位前から注目されていますが、法定書類の作成支援など