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デジタルガバメント・ジャーニー (7)

デジタル化推進マネージャーの長田です。
前回記事では「デジタルガバメント・ジャーニー (6)」では、

  • テスト駆動開発

として、受入テスト仕様書の効率的な作り方について独自の視点で書かせていただきました。
 
今回は第7弾として、要件トレース実践方法の初手「発注者が明確な受入テスト仕様書を作成する」について、行政組織ならではの難しさに触れていきたいと思います!


1. PMBOKで見る行政機関の組織構造

まず体系的知識として、組織構造に関して説明します。
プロジェクトの実施方法に対して、組織構造は環境要因として影響を及ぼします。そもそも組織とは、ある目的を達成することを狙いとして体系化した存在となりますが、以下に大別されます。

  • 機能型組織
    各部門が特定の機能(例:人事、営業)を担当
    部門が独立して機能する

  • マトリクス型組織
    機能型とプロジェクト型の要素を組み合わせ、メンバーが複数の上司を持つ形態で、以下の3つのタイプが存在する

    • ウィーク型
      責任者を明確に設けず、メンバーが自主的に業務を遂行する形式

    • バランス型
      プロジェクトメンバーから責任者を選出し、現場の統率を取りやすい

    • ストロング型
      専門部署に属するプロジェクトマネージャーが責任者として配置され、プロジェクト・マネジメントに特化

  • プロジェクト型組織
    特定のプロジェクト達成のために形成される一時的な組織
    プロジェクト完了後に解散する

図 組織構造と特徴

(上図引用元)
PMBOKガイド第6版 2.1.3組織構造 表2-1を基に、筆者にて要点のみ編集し図解したもの

各組織構造がイメージしやすい図は以下の記事をご参照ください。


日本の行政機関は中央集権的な構造を呈しており、1つの事業を遂行するために現場も含めた一体的なプロジェクトを”自身の所属する部門もありながら”遂行する形式をとることが多いです。

部門自体は機能型組織であることが多いため、事業遂行中においては部門間の壁が強く、各部門が独立して業務を遂行する「縦割り行政」の中で業務を行うこととなります。

この組織構造がまさに「弱いマトリクス型組織」です。要するに、プロジェクトベースでの作業が行われる際にも、各部門の業務範囲や責任の壁が障害となり、組織全体としての柔軟な対応や迅速な意思決定が阻害される傾向にあります。

2. 弱いマトリクス型組織が及ぼす受入基準設定への影響

システム開発に限らず、事業つまりプロジェクトの遂行を高速かつ高度に実現するためにはテスト駆動型に進めていく必要があると考えています。
一方、弱いマトリクス型組織の下では一般的に各部門の利害が錯綜し、プロジェクトの受入基準設定において一貫性のある基準の設定が困難となります。

これは部門ごとに異なる視点や要求が存在するためであり、これらを統一するための調整作業には相当な時間と労力、つまりプロジェクトマネージャーの手腕が求められ、手腕次第ではプロジェクトの進行が遅れる要因となり得ます。

また、明確な基準が設定されないことで、プロジェクトの成果物に対する評価や受入れが曖昧になり、さらなる混乱を招くリスクがあります。
「縦割り行政」が何故難しいのかというと上記の理由によります。

他方でプロジェクトマネージャーの手腕次第では成否に大きく影響することから、正しく体系的知識を備えて実践できるようにすることを行政機関には求められているわけであり、当note「デジタルガバメント・ジャーニー」で要点をまとめてきた経緯となります。

3. 効果的なプロジェクトマネジメントプロセス

これまでのデジタルガバメント・ジャーニーにおいては、特にリスクマネジメントの重要性が強調してきました。
リスクマネジメントは、不確実性を管理し、プロジェクトの成功確率を高めるために不可欠であり、要すれば「将来を予見する重要なツールで失敗を減らす」ために必要なマネジメントです。

行政機関においてもプロジェクト実行時にリスクを事前に特定し、分析することで、予期せぬ問題に対する準備が可能となります。
特に弱いマトリクス型組織である行政機関においても、この過程で異なる部門が持つリスク観点を洗い出して集約し共有することで、将来の予見に対する正確性が高まるため、リスクマネジメントは非常に有用であり重要な過程です。

さらにこの過程により、部門間の壁を超えた共通認識が形成されることでエンゲージメントも高まり、効果的な対応策を講じることが可能になります。

4. そして効率が良いPDCAへ(データの活用)

事業においてもプロジェクトにおいても、進行状況や成果物の品質を把握するためにデータの活用が不可欠です。特に組織構造が複雑な弱いマトリクス型組織においてはデータの共有も含めて、部門間の壁を乗り越えていく必要があります。

取り扱うデータの秘匿性も含めて、価値の最大化をするためにもデータの活用の感度を上げて、身につけた体系的知識を運用していくことが重要となります。

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